出会う確率の方程式
校門…。

メグの手から離れ、急いで振り返る。

「何もないじゃない…」

メグは肩をすくめて見せた。

いつのまにか夕陽は沈み、夜へと変わる。

最後の光のまどろみが、残っていた。

赤い絵の具の上から、

黒い絵の具が少しずつ水で薄められながら

、何度も何度も空を覆うように、

夜へと変わっていく。


そんな空とは違い、

校門や校舎、いつもの道は見慣れた感覚を取り戻していった。

水溜まりもなく…。
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