出会う確率の方程式
「もう下校時間ですよ。速やかに、学校から出て下さい」

見上げた格好の森山は、後ろから声をかけられ、

そのまま首を後ろに倒した。

「あっ!」

渡り廊下の入り口に立っていたのは、

実習生だった。

「時祭先生!」

森山は首を戻すと反転し、実習生に向かって、愛想笑いを浮かべた。


「あはは…。か、帰りますので、速やかに」

森山は笑いながら、まだ見上げている太田の腕を取ると、無理矢理移動させた。

「愛花!帰るぞ」

階段まで、太田を引きずる森山。

太田は腕を引かれながら、視線を実習生に向けた。


そして、こくりと頷いた。
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