出会う確率の方程式
「心配しなくていいよ。彼女もまた…予定調和の中にいる」

二階くらいの高さからコンクリートに着地しても、平気な顔をしているユウヤに、

女は言葉を失った。

ユウヤはただ笑いながら、

「彼女の行動は、彼らを深く結びつける。その時、運命は動く」

女の横をすり抜けた。

そして、月を見上げると、

「この忌まわしい体の始まりを」

呟くように言った後、睨み付けた。

だけど…すぐに、視線を前に戻すと、

「帰るぞ」

ゆっくりと歩きだした。

正門に向かって。
< 137 / 290 >

この作品をシェア

pagetop