出会う確率の方程式
「総統!」

正門を抜け、駅へと歩いていたユウヤに、実習生の女が叫んだ。

「ミ、ミュータント反応が!」

声を震わせる女の言葉に、ユウヤは足を止めた。

顎に手を当て、しばし考えると、

やがてにやりと笑った。

「成る程…そう来たか」

頷くと、ユウヤはまた普通に歩きだした。

「総統!どうされますか!このままでは!」

慌てている女の方を向かずに、

ユウヤはこたえた。

「捨て置け。どうせ、流れは変わらないよ。どうなろうがね。それに…彼が黙っていない」
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