出会う確率の方程式
高橋は、動けないあたしに向かって、手を差し伸べた。

「君は、もう…知ってるはずだ。僕の気持ちを」

そして、ゆっくりと近づいてくる。

「い」

高橋の手が、あたしの顎先に伸びてくる。

「いや…」

あたしの顎に手をかけた高橋は、笑った。

「何が嫌なんだい?僕達の運命は、決まってるのに」

「う、運命?」

「そう」

高橋は頷いた。
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