出会う確率の方程式
ガタンと音をたてて、改札が閉まる。

「わっ!」

うるさく鳴り響く改札の音と、人々の冷たい視線に焦りながら、メグは鞄から定期を探す。

そんなメグを見て、あたしはため息をつきながら、

「あたしは、高橋くんと話したこともないし、な〜んの関係もございませんので、あしからず」


「…だって、あんたの方を見て、笑顔で」

やっと定期を取り出し、改めて改札に通す。

「あたしの方じゃなくって、あんたの方を見てたんじゃないの?隣にいたんだから、わかるって」

「そうかな?」

首を傾げるあたしを見て、メグの顔がぱっと明るくなり、駆け寄ってくる。

まったくわかりやすい女だよ。

「実はあの笑顔は、あたしに向けられたものって…最初からわかっていたのよねえ…」

嬉しくてたまらないというように、話し続けるメグの声を聞きながらも、あたしは電車に乗り込んだ。
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