出会う確率の方程式
そんなあたしの見て、高橋は微笑んだ。

「ごめん。心配しなくていいんだよ。あいつらとは、何でもないんだよ」

そして、再び唇を近づけてくる。

「好きなのは、君だけだ」


あたしは、動けない体で抵抗するよりも、

高橋を憎む心でいっぱいになった。

(こいつは、乙女の敵よ)


近づけた瞬間、唇を噛みきってやる。

そう決めると、


高橋は途中で顔を近づけるのを、止めた。

にこっと笑いかけられると、あたしは口も動かせなくなった。
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