出会う確率の方程式
「勇気!」

あたしが振り向くと、そこに勇気が立っていた。

勇気が微笑むと、あたしの肩に学生服の上着がかけられた。


「き、貴様!」

高橋は何とか顔を動かすと、血走った目を勇気に向けた。

「彼女は、誰の子供もまだ産むことはない!」

勇気は突きだした手に力を込め、 高橋を吹き飛ばそうとしているようだけど、

高橋はゆっくりだが、体を動かせるようだ。


「クッ」

勇気は顔をしかめた。

逆に、高橋は笑った。

「この程度の念動力!」

全身に力を込めると、高橋は勇気の念動力を吹き飛ばした。

「苦でもないわ」

「チッ」

勇気は舌打ちすると、高橋の動きに注意しながら、あたしに話しかけた。

「今の俺は、ほとんど超能力を使えない。だから、ここから逃げてほしい」
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