出会う確率の方程式
勇気の拳の隙間から、砂のようにサラサラになった欠片がこぼれた。

「光の槍は、強力な武器だけど…攻撃の軌跡を、相手にわからせてしまう。お前が狙うのは、俺」

勇気は、地面に倒れている高橋を見下ろし、

「容易に、読むことができた」

様子を確認した。

高橋の頭から、湯気のようなものが上がっていた。

「…高橋君は、どうなったの?」

そんな茹でタコのように、人間から湯気が出るとこを、見たことがない。

心配そうなあたしの様子に気付き、

勇気はあたしのそばに戻ると、手を伸ばし…あたしの頭を優しく撫でた。

「心配いらない。無理矢理ミュータントにされて、力を強い過ぎた為に、頭の細胞がいかれただけです」

「ミュータント…」

あたしには、理解できない言葉だ。

少し考え込んでしまうあたしを見て、

勇気は頭から手を離した。
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