出会う確率の方程式
都市の中心地から離れた一本線の為、ほとんどの場合席は空いており、座ることができる。

会社帰りのサラリーマンが乗ってくるのも、三つ程向こうの駅からである。

「やっぱり、高橋くんはあたしに惚れてるかもね」

まだまだ話し続けるメグ。妄想の類いにはいっている。

あたしが座った向こうの窓から、夜の闇が見えた。

もう夕陽はない。

闇は嫌いじゃないな。

でも、切なくもないわね。

軽く小刻みに揺れる電車に座りながら、

あたしはただただ向こうを見つめていた。


この向こうの下側はまだ、夕陽なのだろうか。
< 17 / 290 >

この作品をシェア

pagetop