出会う確率の方程式
土手を上がると、歩道はすぐである。

さらに橋を渡ると、学校も近い。


「どうでしたか?君達のアダムとイブの様子は」

メグを待っていたように、歩道の上にユウヤがいた。

「…」

メグは、ちらっとだけユウヤを見ると、

無表情のまま横を通り過ぎた。

そんなメグの反応に、楽しそうにニヤリと笑うと、ユウヤは振り返った。


「愛する男が、他の女と一夜とともにした。その現場を生で見て、どうでしたか?――ハハハ!」

高笑いすると、そのまま言葉を続けた。

「だけど!これは、決まっていたことだ。あなたが、どんなに策を練ろうが、運命を変えられない」

「…」

メグは決して振り返ることなく、見えないように唇だけを噛みしめながら、歩き続けた。

「せっかく、時をこえて来たのにね。残念だ」

その言葉に、メグは足だけを止めた。
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