出会う確率の方程式
ゆっくりと頭を上げると、勇気はあたしに背を向けて、歩き出そうとした。



「ああ、あのお〜」

あたしは目を開けて、慌てて勇気に声をかけた。

本当は、少し前から目を覚ましていたんだけど、

あたしに頭を下げる勇気の言葉に、目を開けるタイミングがわからなかったのだ。


だけど、絶対に伝えなればならないことがあった。


「あ、あたし!」

あたしは立ち上がった。

勇気は驚きながら、振り返った。

「あ、あ、ありがとう!いつも助けてくれて」
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