出会う確率の方程式
「来年に生まれるの?」

驚いたあたしを見て、勇気は頷き、

「そう…。だから、俺は…ミュータントを生まれないようにする為に、この世界に来た」

勇気の言葉には、揺らぎない思いを感じた。

だからこそ、あたしはきいた。

「あなたは、ミュータントなんでしょ?」

「ああ…」

「だったら、もし…運命が変わったら、あなたは生まれないんじゃ…」

「それでも、構わない!」

勇気は、あたしを睨むように見て、

「それでも…」

顔をそらした。

「構わない」

「ど、どうして?」

あたしは声を荒げた。

「ミュータントが生まれてから、五百年にも渡って、人間との戦いは続いている。数えきれない程の人々が、死んだ。ミュータントが生まれなかったら、戦いは起きなかった」

勇気はそんなあたしを、じっと見つめた。
< 188 / 290 >

この作品をシェア

pagetop