出会う確率の方程式
「当時のことは、あまり伝わっていないけど…あなたが、産むことは記録として残っている」

勇気の言葉に、あたしははっとした。

(相手は、誰なの?)

ときく前に、勇気が言った。

「残念だけど…相手はわからない。だから、俺は!」

勇気は、掴む肩に力を込めると

「君には悪いけど…俺は、この二週間!君と誰かの出会いを邪魔する。それは、君の幸せを奪うことかもしれない。だけど…」

勇気は、あたしの肩から手を離し、

「君は、綺麗だから…いずれ、いい人ができて…幸せになるよ」

勇気は、顔を真っ赤にした。

慌てて、あたしに背を向け、

「記録によると、ミュータントを産んだ君の人生は、過酷だったらしい…」

勇気は空を見上げ、

「そんな人生を、送らなくてもよくなる」
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