出会う確率の方程式
「…で、彼らはまだ…結ばれていないと」

「はい」

廊下を歩くユウヤに、実習生の女が報告していた。


「困ったな」

未来から来たユウヤ達は、受精反応がわかる装置を持って来ていた。

それにまだ…反応がない。

学校で反応があるのが、おかしいんだけど、

記録では…竹内睦美は妊娠することになっていた。

妊娠しなければいけないのだ。

「しかし、時祭様」

後ろを歩く実習生の1人が、きいた。

「何かな?」

実習生達は、期間中…別室を用意されていた。

授業があるまでは、そこで皆、待機していたのだ。

始業のチャイムとともに、職員室に向かうのだ。


「ミュータントの男が、竹内睦美と結ばれなくて、彼がこのまま未来に帰れば…ミュータントは、滅びるのではないですか?彼に真実を告げさえすれば」

そこまで、話した女は…振り向いたユウヤの眼光の冷たさに、凍りついた。
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