出会う確率の方程式
「睦美って、ホント無頓着よね。クラスの子ら、噂してたよ。なかなかかっこいいってさ」

メグの制服を、ちらっとあたしは見た。

「でもね。あたしはちょっとパスなんだけね。なんか暗そうじゃない?ちょっとオタクはいってる感じで」

ぼおっとしていりあたしの顔に、メグの顔が近づいてきた。

えっと、あたしがびっくりした表情で驚くと、メグは耳許で囁いた。

「あんたってホント、無防備よね。あたしが男だったら、あんたの唇を奪ってるわよ」

あまりに色っぽく言うから、あたしは困惑してしまう。

そんなあたしに呆れたのか、さっと顔を遠ざけると、深々と席に座り直した。

「無頓着で無防備で、ちょっと抜けているところがあるくせに、どこか冷静でさめたところがあるのよねえ」

メグは腕を、頭の後ろにやりながら、視線をあたしの髪に向けた。

「あんたって、普通のごくありふれた髪型だもんねえ」

ストレートで癖一つない黒髪。

「だって…邪魔くさいじゃない。巻くのとか」

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