出会う確率の方程式
「ひどい!愛花〜!」

少し涙目になる森山を無視して、

自分の席に向かった太田は、首を傾げた。

「うん?」

近づくまで見えなかったものが、机の上に突然現れたからだ。



太田の目の色が、変わった。

さっとそれを掴むと、

鞄だけ置いて、教室から出ていった。


「あ、愛花?」

いつも落ち着いている太田が、少し急いでいるように飛び出していった。

そんな彼女の後ろ姿を見送って、森山は首を傾げた。

「トイレか?」
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