出会う確率の方程式
勿論、太田が向かった場所は、トイレではない。


鉄製のドアを開け、朝の日差しが眩しい屋上へと、太田は飛び込んだ。



「あたしを呼び出すなんて…何の用かしら?」

少し目を細めた太田の目の前に、

空中から、勇気が降り立った。


「君にききたいことがある」

勇気は、太田の目を見つめ、

「監査員である君は、本当なら…俺と同時に、この時代に来てもいいはずだ。なのに、君は…」
「あら。それだったら、あなたの知り合いのミュータントも、同じことが言えるじゃないの?」

勇気の話の途中で、腕を組んだ太田が逆にきいた。

「あ、あいつは…」

口ごもる勇気を見て、太田はため息をついた。


「ほんと…あなたは似てるわね」

太田は顔をしかめた。

「時祭総統に」
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