出会う確率の方程式
「これは〜これは〜」

勇気を見て、ユウヤは笑顔を向けた。


ユウヤに撃たれた女が、地面に倒れた瞬間、

消滅した。


「イブに、アダム!お揃いで」

ユウヤは銃口を下ろすと、慇懃無礼に頭を下げた。


「お前が…時祭か」

勇気は、あたしの目をおおっていた手を外した。

恐る恐る目を開けて、あたしは前を見た。

死体が、転がっているはずだったが、


どこにもなかった。

「え?」

驚くあたしに、勇気が言った。

「未来から来た者が、この時間で死んだ場合…無に帰る。なぜならば、生まれたのは、未来。時の粒子の流れに、そっていない」
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