出会う確率の方程式
にやりと、唇が裂けたと思うけど笑うユウヤ。


「勇気!」

勇気の体は、軽くふっ飛び、体育館の壁に激突した。

地面から三メートルくらいの位置で、壁にめり込んだ。


あたしは勇気のもとに駆け寄りたかったけど、

そばに立つユウヤの迫力に動けなかった。



動けば、殺される。


足がすくむあたしを無視して、ユウヤは勇気に向かって、拳を突きだした。

「特異体質!僕の祖先達は、類い稀なる頭脳だけでなく、この肉体を使って、人類の頂点に立つことができたのさ」


「く」

壁にめり込んでいた勇気が、

崩れた欠片とともに、地面へ着地した。
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