出会う確率の方程式
「だけど…君が勇気をくれたから…。俺は、自分のすべてを受け入れる!」

ユウヤの拳を受け止める手に、力が入る。

「できれば…目をつぶってほしい」

勇気の願いに、あたしは頷くと…瞼を閉じた。


「ありがとう」

勇気も一度、目をつぶった後、一気に開けた。

と同時に、勇気の全身が盛り上がる。

「確かに…お前達は、俺の子孫だ!」

「そんなはずがあ!」

片手で弾き返された拳。

次の瞬間、

勇気とユウヤの姿が消えた。

「え?」

逆に静かになった空気の中で、あたしは目を開けた。




「終わったよ」

あたしの目の前に、傷だらけになった勇気が、微笑んでいた。

前に突きだした拳の先で、消滅していく光が見えた。
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