出会う確率の方程式
そんな勇気に気付かずに、そこまで言ってから、太田も別の意味ではっとした。

「どうして、そんなことを私にきくのよ?かりにも、私は人間側よ。別に、あなたに教える義務はない」

いきなり、つんけんしだす太田。

勇気は腕を下げると、そんな太田に笑顔を向け、

「あんた…混ざっているんだろ?つまり、あんたの何代か前に、人間とミュータントのハーフがいたな」


「なぜ…そう思った?」

顔をしかめると、太田は腕を組み、勇気に再びきいた。

「簡単なことさ。監査員などと言っているが、自分の時代に戻れないような仕事をさせられるのは、ミュータントの血を引くものくらいだろ?」

勇気の言葉に、太田は鼻を鳴らした。

「もう五百年くらい前の話よ。でも、今の時からは、未来…」

太田は、目を細め、

「まだミュータントと人間が、争う前の話よ」
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