出会う確率の方程式
「普通に、ミュータントと結ばれる人間もいたのよ」

太田は肩をすくめ、

「だと言って…私は、超能力を使えない。なのに…ミュータントの血を引いているってだけでね」

苦笑すると、太田は、勇気とあたしに背を向けた。


「記録とは違い…あなた達は、すべてを知った。だから、運命は変わったわ」

そして、ゆっくりと歩き出した。


「どこにいくんだ?」

勇気は、太田を呼び止めた。

「フッ。どこにもいかないわよ。教室に戻るだけ…。その前に、記憶を消すわ。未来の記憶を」

太田は立ち止まり、振り返った。

「だって…未来も変えるんでしょ?」


「ああ」

勇気が頷くと、太田は一瞬嬉しそうな表情を見せた後、再び前を向いて歩き出した。

もう…あたし達に振り返ることはなかった。
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