出会う確率の方程式
「ごめん、ごめん」

あたしが怒っていることに気付き、

勇気は真剣に謝ってきた。

「知らない!」


まったく…どこで聞いたのか…。

あたしは、勇気から顔を背けながら、

ちらっと目だけで、彼を見、

彼の変化に気付いた。

今までのギスギスしていた感じが、なくなっていたのだ。

(よし!)

心の中で頷くと、あたしは顔を勇気に向けて、

許してあげるというつもりだった。

あたしがリードしていくはずだった。

それが、あたしの理想だったのに…。
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