出会う確率の方程式
二階の部屋から、音をたてて階段をかけ降りる。

「おはよう」

母親の声がする。

「おはよう」

キッチンのテーブルにはもう、父が新聞片手に座っていた。

父にも挨拶すると、うんと頷いただけだ。

「もう少し静かに降りてきなさい。女の子なんだから」

母親の小言が始まった。

「はあ〜い」

適当に返事しながら、あたしは椅子に腰かけた。

その時、さらにうるさい音をたてながら、弟が二階から降りてきた。

「まったく…あなた達姉弟ときたら…」

母親は頭を押さえながらも、お味噌汁をあたしの前に置いてくれた。

弟がキッチンにはいってくる。

いつもの4人。いつもと変わらぬ朝が始まった。
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