出会う確率の方程式
「?」

あたしは、すぐには理解できなかった。

首を捻るあたしの仕草に、勇気は微笑んだ。


そして、あたしの両手を握り締めると、

「もうすぐ…俺の知ってる未来ではなくなる。ミュータントは月で生まれ…月で暮らすんだから」

またキスをした。

「勇気…」

どこか寂しそうな勇気の表情に気付いた。

仕方ないことだけど、

今を変えれば、未来が変わる。

勇気が知っている思い出は、なくなるのだから。


「心配しないで」

今度は、あたしが言った。

あたしから、優しくキスをすると、

笑顔を向けた。

「これから…2人で、最高の思い出をつくろうよ」
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