出会う確率の方程式
「まったく仕方がないわね。この子は」

人混みを掻き分けて、メグのそばに来た女は、

ため息をつくと、メグの腕を掴んだ。


「この子…昨日、勇気くんにコクって、フラれたのよね」

そのまま、人混みの中へと連れていく。


「離せ!愛花!大体、お前があたしをけしかけたんだろが!」

抵抗したけど、メグは物凄い力で引きずられ、人混みの向こうに消えていく。


「馬鹿!勇気!あんたなんか、大嫌いだ!」

メグの捨て台詞に、周囲はほっと胸を撫で下ろした。

勇気は、メグが消えた方をしばらく見送った後、

「じゃあ、いってきます」

過去へと旅立った。
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