出会う確率の方程式
いつものように、

あたしは渡り廊下に来ていた。

なぜだろう。

自然と足が向いた。


退屈で、少し気だるい日常の中、

ここにいれば、何が変わる予感がしていた。


「馬鹿みたい…」

夕陽が沈みかけるまで、ここにいて…、

あたしは帰る。

何も起こらないのに、期待してたあたしに毒づきながら、階段を降りる。


何もないのに…。


だけど、出会いはいつも突然。


あたしは、階段の途中で足を止めた。


その下に、1人の男の子がいた。

あたしは、彼を見ただけで確信した。


あたしは、彼を待っていた。

それは…おそらく、彼もいっしょ。
< 288 / 290 >

この作品をシェア

pagetop