出会う確率の方程式
「おはよう」

あたしも自然と、笑顔で挨拶した。

こういう時、自分でも、

外面はいいなあと思う。


ちらっと、黒板の上の時計を見た。

まだ8時20分。

始業時間まで、あと25分もある。

別にそんなに親しい子達でもないし。

ちょっと外にでも出ようかなと、教室を飛び出した。

その時、あたしは何か固い肉の塊にぶつかり、止まってしまった。

「あっ、ごめんなさい」

妙に優しく、少し低いが丁寧な口調で謝る声が、あたしの頭の上から聞こえてきた。

ビクッと身を震わし、顔を上げると、

1人の男の顎が目の前にあった。

「すいません、大丈夫ですか?」
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