出会う確率の方程式
男って…誰よ。

思わず身を引いたあたしの目の前に、びしびしの紺のスーツを着た男が立っていた。

黒目のくりっとした大きな瞳は、大人ではないが、少年の面影を色濃く残しており、

それは明らかに、教師でも生徒でもない存在だった。


「先生!」

先程の2人が黄色い声を上げて、その男に駆け寄ってくる。

「どうしたんですか?先生…。まだ一時間目は始まりませんよ」

女が男にすり寄る声。

親しげに話しかける2人を見て、あたしはやっとその正体を知った。

教師未満…生徒以上。

「教育実習生…」
< 31 / 290 >

この作品をシェア

pagetop