出会う確率の方程式
やっと一限目の終了のチャイムが鳴った時、

実習生の顔は汗だくになっていた。

肩で息をしながら、帰っていく姿と、

それを追いかけていく町子達の姿が目に入った。

ちらっと町子がこちら…じゃなくて、メグの方を見た。

そして、フンと鼻を鳴らすと、教室から出ていった。


「まったく、何様のつもりよ」

あたしの後ろに、メグが立っていた。

あたしは振り返って、

「大丈夫…何かメグを睨んでいたよ」

「まあ、何か仕返しでもしてくるんじゃない。別に、恐くないわ」

メグは笑ってみせた。それから、ちょっと腕を組み、

「でもね。あの実習生の取り巻きの中に、サッカー部のマネージャーがいたのよね。もし、今の事が、高橋くんに言われて、気の強い女だと思われたら、どうしょう」

と身をくねって、悩む素振りを見せた。
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