出会う確率の方程式
「今さっき…言われたのよおねえ〜。今日帰ろうって。あたしがトイレにいこうとしたら後ろから…あっ、相沢さんって、あのクールな声で、突然…申し訳ないんだけど、今日時間あいてるかな?いっしょに帰りたいんだけど…って」

ここで、メグは少し我に返り、

「でも!どうして、高橋くん…あたしの名前を知ってるんだ?前から、あたしのこと気にしてたのかな!」

嬉しそうにはしゃぐメグを見ながら、あたしはため息をついた。

そりゃ…毎日、部活を見に行って、試合の時にはプレゼントを持参するやつを、いやでも覚えるだろが。


きゃって1人興奮しているメグを、帰宅していく生徒がじろじろと横目で見ていく。

気持ち悪そうに。

「という訳で、今日はごめん!今度、埋め合わせするからさ!あたしの幸せ話で!」

鞄を抱え、生徒達をかき分けながら、メグは走りだした。

1人残されたあたしは、窓にもたれかかり、軽く息を吐いた。

これから、どうしょう。
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