出会う確率の方程式
パンとの悲しい別れを経験した後、

訪れた静かな図書館は少し、居心地が悪かった。

さすがにテスト一週間前ということもあり、ほとんどの席が埋まっていた。

みんな手に手を取り合い、ノートの貸し合い、写し合い、話し合いをしている。

それも、皆一応ひそひそ声で話しているものだから、

何と言うか…虫がごそごそて蠢いているような感じを受けた。

あたし…町中の人混みも嫌いだし…人がたくさんいるっていうのが、どうも苦手だ。

これで、世間の荒波を乗り越えていけるのだろうか?

自分で不安だ。

いかん、いかん!

気を取り直し、鞄を開けた。



頬杖をついて、歴史の教科書をぼんやり眺めていると、突然後ろから声をかけられた。

「竹内さん」

少し甲高い声に、聞き覚えがあると振り返ると、同じクラスの太田と森山がいた。
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