出会う確率の方程式
歩きだしたあたしは、帰ろうとして、一歩を踏み出した。

ポチャン。

地面につこうとした足の爪先が、何かに触れた。

水溜まり…。

あたしに降り立った。

一面に、小さな水溜まりがたくさんできている。

えっ…。

思わず足を引っ込めてしまう。

その動きが水面に、波を作りだした。

広がっていく波紋。静かに、静かに…大きく、大きく。

その先にあるだろうと思われる校門は、赤い夕陽の逆光の為に見ることはできない。

沈もうとする太陽の最後の日差しは、目に痛い程赤く鋭かった。

波紋が消えていく…。

手をかざし、目を細めると、

そこに1人の少年が立っていた。
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