出会う確率の方程式
「愛花!ま、まさか…よりによって、テスト前に、おれを見捨てる気か!」

あたし達に向かって、手を伸ばす森山を相手にしないで、太田はあたしだけを見て、

「あたし…場をわきまえないやつが、嫌いなんです」

微笑んだ。

(こ、こえ…)

逆らってはいけないと、本能が告げた。

あたしは目の前の教科書を片付けはじめた。

すると、慌てて森山があたしと太田の間に割って入り、手を合わせて謝りだした。

「ご、ごめん!愛花様!あなたがいないと、おれは生きていけません!せ、せめて、一週間のお慈悲を…反省しておりますので」
< 70 / 290 >

この作品をシェア

pagetop