出会う確率の方程式
その様子を、横目でチラッと確認すると、少し考えるような仕草をしてから、太田はため息とともに言った。

「仕方ないわね。今回だけは、許してあげる」

「ありがとうございます」

森山は頭を下げた。

太田はあたしに、顔を向け、

「竹内さん。ここは、3人で座れませんから、奥にいきましょう。あたし達の荷物も、そこにありますので」

さっと奥へ歩き出す太田と、その背中に向かって舌を出す森山の対比が、

あたしにはおかしかった。

森山は、太田の背中を軽く睨みながら、あたしに向かって呟いた。

「あんにゃろう〜!いつも、テスト前になると、えらそうになるんだよ。まったく!テスト終わったら、絶対復讐してやるからな」
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