出会う確率の方程式
日も暮れだした頃、あたし達三人は、図書室を出た。

「今日は、勉強した!した!本当にしたぜえ!」

森山は大きく背伸びした。

「そうねえ…。あたしはただ、教えただけで… 何もできなかったけど」

ため息とともに、太田が呟くように言った。

森山はちらりと太田を見ると、あたしに近づき、耳打ちした。

「―ったく、嫌味な女だぜ」

確かに…。

あたしは、心の中で頷いた。だって、太田はまじ恐い。

そんなあたし達の様子に、気づいたのか、

太田はこちらに顔を向け、ゆっくりと微笑んだ。

くりっとした大きな目に、小さな口元。かわいいだけに、余計に恐い。
< 72 / 290 >

この作品をシェア

pagetop