出会う確率の方程式
「はあ?」

意味深な言葉を残し、太田はあたしの横を通りすぎた。

太田はくすっと笑うと、振り返り、

「じゃあ、竹内さん。あたし達、駅とは反対方向だから…。ここでさよならしましょ」

微笑みながら、太田は頭を下げた。

「あっ!愛花!」

慌てて歩きだそうとして、森山は足を止め、

「明日から、京子でいいから!またあしたな!気をつけて、帰れよな」

太田がこっちを見てないことを確認した後、森山は投げキスをしてきた。


「…」

1人…取り残されたあたしは、しばらく2人の後ろ姿を見送った。

世界は広い。

世の中、まだまだ…あたしの理解できないことがあると、悪寒を通り越して、軽い目眩を感じた。
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