出会う確率の方程式
「睦美!」

後ろから、声をかけられた。

バネでもついてるのかなと思う程の勢いで、あたしは振り返った。

「どうしたの。恐い顔して、何かあったの?」

そこには、親友の相沢恵美が首を傾げながら、立っていた。

「メグ…」

毎日見慣れたメグの顔を見て、あたしは呪縛が解けたように、体の力がなくなっていくのに気付いた。

ちょっとふらっとしたあたしを、メグが両手で支えてくれた。

「ちょっとどうしたのよ!睦美。あんた、大丈夫なの!」

あたしは首を軽く横に振ると、メグの手を取って微笑んだ。

「大丈夫…ちょっと目眩がしただけ…」

「校門の方を向いて、ぼおっと突っ立ってて変だよ。あんた」
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