出会う確率の方程式
その頃、

渡り廊下の上に出現した勇気は、1人の女と対峙していた。

その女は、

まるで勇気がここに現れるのを知っていたかのように、テレポートアウトすると同時に、声をかけたのだ。


「撃たれたようね」

女は手摺りにもたれながら、夜になり無人となったグラウンドを眺めていた。

「だけど、勘違いしないでね。あたしが、撃った訳ではないから」

女の言葉に、勇気は頷いた。

「わかっている」

そして、勇気はまじまじと女の姿を確認した。

この学校の制服を着た女に、目を細めると、

「あんたが、監査員か」

きいた。
< 99 / 290 >

この作品をシェア

pagetop