[短編]平行線


「加奈ちゃん?私伊織。


よろしくね。」


そう言って伊織さんは手を


出してきた。


「…加奈です…」


そう言って伊織さんの手を


握る。


「おーい!加奈ぁー?なにしてんのぉー?」


タイミングよく未亜が声を掛けてきた。


「ごめんごめん。いまそっち行くー。」


「なに?隆って加奈ちゃんと知り合い?」


私の隣に座っている光樹さんが隆に聞く。


「ん?だって兄妹だもん。」


「は?マジで?あぁー。お前らカップル


呼ばなかったらよかったー。」


「…たくっ…なんで彼女連れて合コン


なんか参加しなきゃいけねーんだよ。」


「まぁまぁ。別にいいじゃん。


逆に良かったんじゃない?こんな奴が


加奈ちゃんにひっついたら危ないし。」


「はぁ?伊織、お前いま俺のこと


こんな奴呼ばわりしたな!?」


「いいじゃん。」


「えっと…」


私が話かけようとした瞬間…


「…きゃー!啓、大好き!」


「俺も未亜のこと好きだよ。」


…バタン…


未亜と啓くんが部屋を出て行った。


「なに?あいつらできたの?帰ったし。」


光樹さんと声に振り返ると、テーブルに


お金が置いてあるのが見えた。




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