桃色ドクター
『もしもし、瀬名整形です!』
一瞬、声を出すことを忘れた。
留守番電話かと思うくらいの作られた声。
電話に出たのは、若そうな男性だった。
「あのぉ、ぎっくり腰になったんですが、動けないんです。迎えに来てください!!」
10か所もの病院に断られているうちに、頼み方も強引になってきた。
半ば諦めモード。
『すぐに行きます!ご住所を…!』
声優かと思うような甘い声の若者が、最高の対応をしてくれた。
まさかと思ったが、まだ病院が開いていないので今なら迎えに行けるとのこと。
『わかりました。3階ですね?玄関まで出られますか?』
「無理です… あの!・・・・・ッブチー…」
充電が切れた。
用件だけ伝えて電話を切ったわがまま女と思われただろう。