桃色ドクター
「ここ、右です」
「知ってるよ」
最初に電話に出たのが、瀬名先生じゃなかったら、今の私達はいないんだね。
あの日、瀬名先生が優しく対応してくれて、私を助けてくれた。
短い間だったけど、私・・・女だった。
すごく女でいられた時間だった。
「ありがとうございます」
マンションの前に着いた。
助手席のドアを開けた。
「待ってろ」
右手を引っ張る瀬名先生は、強い口調で言った。
「俺のこと好きなら、待ってろ。いいな?」