桃色ドクター


なんとかギリギリまで話すことができた携帯電話の画面を見つめると、ノーメイクの目の腫れた女が映っている。



とっさに考えたこと。


さっきの甘い声の若者がもし迎えにきたら?



きっと彼はかわいい顔をした20歳くらいの助手だろう…


彼にこんな顔見せられない…!!


化粧、化粧!!



バカだ。



腰の痛さに耐えて、私は洗顔と軽く化粧をした。




そのせいで、腰はどんどん痛みを増してゆく。



鏡に映る自分の顔を見て、溜息が出る。



私は、焦っている。

人生に・・・焦っている女。



雅也以上の男がどこかにいないかと、常にアンテナを張り巡らせている自分に気付き、情けなくなる。



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