桃色ドクター
私の目に飛び込んできた男性。
想像していたかわいい顔の若者ではなく、きっと私と同じくらいか、私より2歳年上の雅也と同じくらいの歳であろう男性。
目は垂れ目ではないが、鋭くはなく、瞳が綺麗だった。
鼻は高めなのに、特別濃い顔でもない。
真夏でも涼しげな印象を与えてくれそうな顔。
あっさり顔なのに、その一言では言い表せない奥深さがある。
「初めまして。瀬名と言います。平野香織さんですね」
はぁはぁと息を切らしながら、自己紹介をしたその人の名札に吸い寄せられた。
『医院長 瀬名 仁ノ介』
医院長?
真っ白な白衣に、透き通るような肌。
苛立つくらいにストレートな髪。
センターで分けられた前髪が、美しく揺れる。
まるで、マンガの中に出てきそうな爽やかなドクター。