桃色ドクター



「あの・・・・・・ なんかごめんなさい。いろいろ」


もう酔ってしまったのか、恵理は私の肩に顔を乗せて、謝った。



どう切り出そう。


恵理の行動を責めることはできない。



傷つけずに、話したい。



「最近、あんまり連絡して来なかったね。どうかした?」




私は、肩に恵理の頭の重さを感じながら、自分の首を恵理の頭の方へ動かした。



私はいつもこういう役で。

女友達と飲んでいても、甘えられることが多い。



自分は、甘えるよりも甘えられることに向いていると思っていた。


男と飲んでいても、こういうシチュエーションは多い。



『俺、仕事疲れちゃってさ』なんて言いながら、私にもたれかかる。

私は、よしよしって男の頭を撫でる。




この世でひとりだけだね。


私が甘えられる人は。



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