桃色ドクター
「ばか!自分の幸せを考えな!それに、あんた私の幸せはどうでもいいの?」
冗談半分で恵理の頬をつねる。
恵理は、はっとした表情になった。
「あ!忘れてました。そうですよね。私・・・・・・雅也さんの幸せばかり考えていて」
不思議な子。
でも憎めない子。
「で・・・・・・瀬名先生に嘘ついたの?」
恵理は、口に運びかけた焼き鳥をお皿に戻し、うつむいた。
「知ってたんですか・・・・・・」
恵理は、お皿の上の焼き鳥を箸でツンツンと突っついた。
落ち着かない様子の恵理は、思い出すように口を開く。
「すぐにバレると思ったんです。軽い気持ちだったんです。でも、香織先輩ももう瀬名先生の話をしなくなったから、雅也さんに戻ってくれるかなって思って・・・・・・謝りたかったんですが、言えなくて」
「いいよ。もう。つい最近知ったんだ」
恵理は何度も何度も謝った。