桃色ドクター


私の胸で泣き出す恵理を優しく抱きしめた。



そう、いつもこんな役。


誰かを慰めるのは得意。



「頑張りなよ。応援してるから」



私は、混乱したままの心の中を自分で整理する。


恵理の今までの嘘を自分なりに消化しなきゃ。



また恵理を信じられるように。


今は瀬名先生の胸に甘えることができないからひとりで頑張る。





家に帰ると、FAXが届いていた。


瀬名整形外科から。


診療時間の変更と、瀬名先生の担当の時間割。


その表の下に添えられたメッセージ。




『腰の具合どうですか?明日、待ってます。瀬名』





涙が出る。


嬉しくて、ほっとして。



愛する人がいるってこんなにもほっとできるんだね。



恵理から聞かされたいろんな真実が、心の中で綺麗に丸くなっていく感じだった。






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