桃色ドクター
「これ、使っていいから。ゆっくり入ってこい」
渡されたタオルは、うちにあるタオルとは全然違う肌触り。
ふわふわしていて気持ち良い。
「ありがと。じゃあ、先にシャワー浴びさせてもらいます」
お風呂場の壁は真っ白。
しかもカビとか汚れも全くなし。
「すごいな、仁ノ介って」
置かれているシャンプーやリンス、洗顔もどこかのホテルみたい。
「でも、これって」
感心している場合ではない。
仁ノ介のお風呂場に、女性用のシャンプーや、メイク落としがあるってことは……
どう考えても、由美子さんの物だよね。
「うう……複雑」
悩んだ結果、私は隣にある男性用っぽいリンスインシャンプーで髪を洗った。
メイク落としはかなり使いたかったけど、そこは我慢。
私は石鹸を泡立てて、メイクを落とした。
マスカラがなかなか落ちなくて、湯船の前にある鏡で何度も顔をチェックした。