桃色ドクター
仁ノ介はさっき私が使った男性用シャンプーを手に取り、私の背中を洗い始めた。
「それ、シャンプーじゃんっ!!」
「何、言ってるんだ?これ、ボディーシャンプーだよ」
へ?
私が男性用のリンスインシャンプーだと思って髪を洗ったのは、実はボディーシャンプーだった。
「でも、このシャンプーって女性用じゃないの?」
私が流行のシャンプーを指差すと、仁ノ介はケラケラと笑い出す。
「ばかだな。俺のこのサラサラヘアーを維持するには、これしかないんだよ」
大きな誤解をしていた。
「じゃあ、これって?」
私が腰をかがめて、メイク落としを指差すと……
「ひげそり用のジェルだけど??」
完全に私、おかしい。
全部誤解じゃん。
「メイク落としだと思った」
「香織、本当にばかだな…… お前以外の女は入れたことがないよ」
がっくりと肩を落としている隙に、仁ノ介は私の体をくるっと回し、向かい合わせにした。
ぎゅ~っと、私の体を確かめるように抱きしめて、そっとキスをした。